地元で愛され続ける老舗のうどん店、博多うどんのお手本のようなお店。戦後復興時の姿を今に残す貴重な昭和レトロの世界。
正統派博多うどんの名店「因幡うどん」
博多うどんってどんなんやねん?と聞かれても、柔らかいグニュグニュのうどん…としか答えられないんだけども、それだと全く美味しそうになくて、いつも説明に困るんです。そんな時に「とりあえず食べに行こう」と連れて行くのに最適なのが、地元の人に昔から愛され続ける博多うどんの老舗「因幡うどん」なのです。
最近のうどんブームにのって福岡でも様々なうどん店が注目を集めているんだけども、流行廃りに流されず昔ながらの博多うどんを今に伝えるお店。トラディショナルなスタイルを貫くうどん屋さん。
渡辺通店のレトロな雰囲気が最高
博多うどんといえば因幡うどんというくらい、昭和の時代から愛されてきた老舗うどん店。子供の頃から通い続けてウン十年という根強いファンがいる人気店。
因幡うどん渡辺通店があるのは三角市場というレトロな市場の角。この三角市場は戦後の闇市が発展して出来た市場で、開発が進む福岡市内にあって昭和20年代の姿を留める貴重なレトロスポットなのです。三角市場が出来たのは1950年(昭和25年)、因幡うどんの創業は1951年(昭和26年)、レトロな市場とレトロなうどんの組み合わせ。リアルな昭和の姿がここにあります。
店頭に並ぶ食品サンプル。
入口に並ぶ食品サンプル、オーソドックスなうどんが並んでいます。子供の頃は目を輝かせながらサンプルを見てメニューを選んでたんですよね、あの頃の外食は本当に楽しかった。
時代を感じさせる店内、客も常連なのかスタッフとの会話が弾んでいる。
時代を感じさせる因幡うどんの看板とレトロな時計。
せっかくレトロなお店に来たのだから、ガラッと扉を開けたかったところなんだけれども、入り口扉は自動になっていました。それでも一歩なかに踏み込むと、そこはもう昭和の世界。カウンター席はなくテーブル席が並び、壁も天井も全てが昭和、どこか懐かしいというかノスタルジックが止まらなくなりそうな店内。入った瞬間に出汁の香りが漂ってきて、もうたまりません。
因幡うどん渡辺通店のメニュー
壁に掛けられたメニュー
壁の鏡がまたいい味でてるというか、あったよね昔はこういうの。こんな所に鏡を取り付けてどうするつもりだったのか、今から考えると不思議な感じがするんだけれども、ひょっとしたらキッチンから入り口が見えるようにしていたのかもしれない…などと考えてみたり。
とにかく考える前に注文をせねばと壁のメニューを見てみると、定番のうどんが並ぶ中に地域ならではのうどんを発見。「梅あおさうどん」というのは、関西じゃ見かけませんもんね。
因幡うどん渡辺通店メニュー一覧
- 玉子うどん
- きつねうどん
- たぬきうどん
- わかめうどん
- 昆布うどん
- 丸天うどん
- ごぼう天うどん
- えび天うどん
- 芋天うどん
- 梅あおさうどん
- 具うどん
- 肉うどん
- ざる蕎麦
- 鍋焼きうどん
- すき焼きうどん定食
- かしわにぎり
- いなり寿司
- ばら寿司
とりあえず何にしようか悩んだ結果、子供の頃大好きだった「きつねうどん」を注文。なんだか昭和レトロなお店に入ると子供の頃にお婆ちゃんに連れられて食べに行ったことを思い出して…急にきつねうどんが食べたくなりました。
博多うどん特有の柔らかいグニュグニュうどん
因幡うどん渡辺通店のきつねうどん
注文してから待つこと数分、きつねうどんがやってきました。見た目はうどんが少しナヨッとしたような感じ、関西や讃岐うどんようなツルツル感はありません。お揚げは昔ながらの薄めの揚げ、透き通る褐色の出汁の色がとっても優しくて、すんげぇ美味しそう。
テーブルの上にはネギと七味
七味を少し多めに、ネギを少々
まずは出汁を一口
七味を少し多めに入れて、ネギをスプーンに山盛りでひと掬い。出汁をずずっと一口…すんごく優しい味。なにか特別な仕掛けがあるわけじゃないけども、シンプルでストレートな出汁の味。味がすごく柔らかい、いわゆる滋味系のじわ~っと沁みる味なのです。
程よい甘さが絶妙な揚げ
きつねの揚げも品のある甘さ、甘すぎずに出汁の味とすんごく合います。久しぶりにきつねうどんを食べたんだけれども、改めてその美味しさを実感。長く定番であり続けるメニューは奥が深い。
博多うどんの特徴はなんといっても柔らかいうどん
博多うどんといえばこの柔らかいうどん、初めて食べたときはのびてるのかと思ったんだけど、独特の弾力があって柔らかさがとても優しい食感。噛まずにモニョモニョと食べていくんだけど、これはこれでとても美味しいというか、コクのある出汁とよく合ってクセになるんです。
お店情報
コレと言って尖った所はないんだけれども、基本を忠実に積み上げていくとこうなりましたというような味。まさに老舗のうどん。最近のうどんブームで次々と個性的なうどんが出てきているけども、やっぱりこういう直球ど真ん中、誰もが普通に美味しいといえる優しいうどんは安心して食べられます。
さらに言うとこの立地との相性が抜群で、昔懐かしい昭和の世界で昭和のうどんを味わうからこそ美味しいってのもあるんだよね。人って料理を舌だけでなく頭でも味わってると思うんですよ。見た目や雰囲気なんかで同じ味でも微妙に違ったりする。レトロな市場のレトロな店で、レトロなうどんを味わう。40半ばを過ぎた昭和40年代生まれのオッサンにとって、心いやされるうどんでした。
「因幡うどん渡辺通店」
住所:福岡市中央区渡辺通2-3-1
営業時間:10:00から20:00
定休日:年末年始
昭和レトロ素敵な市場「三角市場」の記事はコチラ↓
※この記事は私が訪れた時のものです、現状と異なる場合があります。最新情報、詳細はご自身で確認することをおすすめします。
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