天神から中洲へ向かう途中にある天神中央公園、静かに建つ素敵な洋館。天神に残された数少ない、貴重な古い建築物。
「旧福岡県公会堂 貴賓館」福岡天神、フランスルネッサンス様式の素敵な洋館
福岡の繁華街天神から中洲方面へ歩いて行く途中、旧県庁跡に広がる天神中央公園。この周りには福岡市役所の庁舎やアクロス福岡といった公共施設が建ち、天神の中心部にある憩いの場であると同時に、イベント会場として多くの人で賑わう場所。
近くには天神という地名の由来となった水鏡天満宮もあるなど、古くから福岡の中心地として栄えてきました。そんな公園の中にポツンと建つ明治の洋館、フレンチルネッサンス様式で建てられた美しい建物が今回訪問した「貴賓館(旧福岡県公会堂)」です。
福岡市役所の正面にある福岡中央公園、ちょうどアクロス福岡から中洲方面を見てみると、先の方に素敵な洋館が見えていますね。
正面まで来ると、どうですかコレ、すんごく素敵でおしゃれな洋館です。ここが今回の目的地「貴賓館(旧福岡県公会堂)」。本来はこの建物の裏に講堂があったのですが、解体されてしまい貴賓館の部分だけが残されています。
来賓をもてなす為の施設だっただけに、随所に装飾が施されるなど細部まで美しく造られた洋館。
中央部2階にあるアーチ状の窓や屋根がとてもモダンで素敵、さらに丸いガラス窓の奥に室内の照明が見えている。細かい所までよく考えられていますよね。
塔の部分に設けられた丸窓がオシャレ。
斜め後方からのショット。本来なら通路があり、講堂が建っていました。いまは壊されていて駐車場になってますけどね。
正面に戻ってくると、観覧のご案内と書かれた看板がありました。有料ですが内部は一般に公開されています。
貴賓館の1階
入館料を入り口で支払い、正面玄関から中へと入っていきます。
入ってすぐのホール、左右に通路が別れ正面には階段があります。階段に大きな明り取りの窓があるため、とても明るいエントランスのホール。
左手の廊下を進んでいくと左右に部屋があり、貴賓館のカフェになっています。
貴賓館カフェのメニュー。ドリンクがメイン、メロンソーダがあります。貴賓館パンケーキがオリジナルメニューという事になるんでしょうか。
一階の食堂、壁紙の柄は当時と同じものを複製。家具や照明は他から持ってきたものです。カフェで注文したものを、この席で飲食することが出来ます。
食堂の部屋には不釣り合いなほど巨大な電灯がぶら下がっているんだけれども、これは旧県庁の県議会議事堂にあった電灯を持ってきたのだとか。ちなみに旧福岡県庁の本庁舎は大正2年に建てられていて、昭和の末期まで使われていました。石造りの重厚なレトロ建築で、すんごく立派な建物だったんだけれども、そこは福岡、バッチリ壊してます。県庁が手狭になって移転するのは分かるんだけれども、なんで古い建物を活用しようと思わなかったんでしょうね。確かに壊して新しい建物を建てたほうが、地元の業者や利権に絡む人は一時的に儲かるでしょうが…利権と無関係な市民として長い目で見たらどっちが得かというお話。
食堂の奥、外から見た塔の1階部分。ここだけ少し雰囲気が違って、VIP席みたいになっています。
食堂から廊下を挟んで向かい側には、貴賓館の解説などのパネル展示があり
その奥には物販スペースがありました。
続いて玄関から右の廊下へ行くと遊戯室と書かれた部屋がありました。ここは名前の通り娯楽用の部屋で、小さなカウンターが設けられています。
この部屋で注目したいのがこの床にある礎石。これは建物の下、地面に直接基礎工事を施した礎石なのだそうです。重量物を置けるように造られたものなのですが、なんとビリヤード台を置くためのものだとか。当時のビリヤード台は重かったのですね。
遊戯室の廊下を挟んで向かい側には休憩室、現在は旧県庁などの資料が展示されています。
旧県庁解体時に発見されたタイムカプセルが展示されていました。中に入っていたのは当時の新聞、その写しが読めるようにガラスケースの上に置かれています。
ふと見上げてみると複雑な木の組み方が素敵な天井。この時代の洋館は部屋の目的別に天井がすべて異なるんですよね、見どころの一つです。
正面の玄関に戻ってきました。両脇に昇り階段、その中央にある通路を奥へと進んでいきます。
奥にはレトロな洗面室があり
その脇には和風の浴室がありました。
和風浴室の天井は明るい緑色、モダンで素敵な天井を見上げながら入浴が出来るスペース。
さらに洋風の浴室も完備。貴賓館ですからね、外国からの来賓が使う事もあったのでしょう。
浴室があった部屋から再び玄関へ。入ってきた玄関方向を見てみると、両側に階段があり重厚で豪華なエントランス。古い洋館が持つ重厚感、落ち着いた雰囲気がとても素敵です。
1階の見学を終えたので、続いて2階へと階段を昇りましょう。
階段の手すりは一本の木から削り出されたもの、とても贅沢な木の使い方。さらに細かい装飾も施されていて豪華な造りです。しかも2階の踊り場がとても明るい。
この明るさの素はこの大きな半円状の窓。この建物が建てられた当時は既に電機もガスもあったそうなのですが、電灯は今ほど明るくなかったそうです。そのため各所に明りを取り込む工夫がなされているんですね。
ということで、ここまで見学してきた1階の平面図。事務室と書かれている部屋は非公開というか、現在も事務室として使われています。電話室の所はカフェの厨房のようになっていて、小使室が物販コーナーになっている部屋です。
ここまでで1階の見学を終え、次のページでは2階の様子を紹介します。
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