「祇園駅方面連絡通路」には博多の歴史を紹介する展示があるんです、出土品なんかも展示されてますよ。
博多駅から地下鉄祇園駅へと続く地下通路には、博多の歴史資料が展示されています。
市営地下鉄博多駅から祇園駅まで、地下通路があるんです。大博通の地下をずっと隣の祇園駅まで、雨の日でも快適に通行できる便利な地下通路。元は仮設の地下鉄博多駅があった場所だとか。で、この地下通路には、なんと地下鉄工事で行われた発掘調査の出土品や、古代、中世における博多の町、その歴史を学べる展示物があるんです。まるでミニ資料館のようになっていて、穴場的観光スポットになっています。
とくに古い博多の地図は貴重なので、これを知ると博多の町を歩くのが数倍楽しくなること間違いなし。ということで、祇園駅方面地下通路へ行ってみましょう。
ここはJR博多駅の博多口。祇園駅方面連絡通路はJR博多駅の博多口側にあります。入り口はいくつかあるのですが、今回は駅前のロータリーにある入り口から入っていきます。
博多口から出て正面、バス乗り場方向に歩いて行くと「博多駅地下街」へと下る地下入り口があります。
階段を下り、博多駅地下街へ。
扉を開けて博多駅地下街に入ると、すぐ頭上に「祇園駅方面連絡通路」と書かれた案内があります。この案内に従って、矢印方向へ。
すると、こんな通路がありました。この通路は地下鉄博多駅のお隣、祇園駅へと続いています。
通路の中は思った以上に広くて、半分は駐輪場になっています。現在の地下鉄博多駅が完成するまで、仮設駅として使われていたと言われれば「なるほど」という感じ。通路にしては広すぎるもんね。
で、この通路の博多駅側。壁になにやら展示されておりまして、よく見ると博多の歴史資料が展示されているじゃありませんか。
主に展示されているのは、地下鉄工事に伴って発掘された出土品や、博多の歴史に関する事。これが侮れないというか、博多の歴史を知る数少ない歴史スポットなんです。
博多駅周辺の発掘地点を記した図。大博通りを中心とした現在の地図に、中世の博多市街地を重ねています。黒い点線で囲まれているのが旧博多の街。現在の博多駅は、古い博多の街からは外れていたんですね。
更に古い時代、古代の博多についての説明。承天寺のすぐ近くには古墳があるんだ、知らなかった。
博多が貿易港として整備され始めた中世の時代。
平清盛によって港湾が整備され、鎌倉時代には蒙古襲来。鎌倉幕府が鎮西探題という九州統治の役所を設置し、幕府による九州政治の中心となったと書かれています。
朝廷による九州の拠点大宰府と幕府の拠点鎮西探題、ここから朝廷方と幕府方に別れた戦いの時代へと続いて行くんでしょう。実際、鎌倉幕府の鎮西探題は朝廷を支持した菊池氏に攻められたり、室町に入ってから大宰府は幕府方の大内氏に攻められたりしてますからね。
鎌倉時代末期から戦国時代にかけて、九州北部は朝廷派対幕府派による泥沼の戦を繰り広げる事になります。
15世紀、戦国時代から江戸時代までの説明が書かれています。この中にかかれている豊臣秀吉による太閤町割りが、現在の博多の原型になったとされているんですね。
説明パネルだけでも十分楽しめるのですが、出土品も数多く展示されています。
レプリカなのか実物なのか書かれていませんが、博多で出土した陶磁器の数々。
このような発掘調査時の写真も展示されていて、出土状況がよくわかります。博多小学校地下の元寇防塁、一部は展示室として見学できるようになっています。
蔵でもあったんでしょうか、右側の小さな食器は何かに入れて保管されていたように見えますね。
博多のじょうもんさんコーナー。「じょうもんさん」とは博多の方言で、娘さんとか、美人さんという意味。女性にまつわる出土品の展示みたいです。
指の跡が残っているという14世紀の下駄。
櫛や毛抜き、耳かきに鏡、身だしなみを整えるための道具類。
服飾品関係、指輪もこの当時あったんですね。
とまあこんな感じで展示されているんです、なかなか見ごたえのある展示ですよね。通路にチョコっとあるような展示にしとくにはもったいない。というか、博多って歴史ある街なのに、古代から中世まで博多の歴史を網羅したような郷土資料館や歴史資料館的な施設が無い気がするんですよ。僕が見つけられないだけかもしれませんが…もったいないですよね。
歴史資料の展示は博多駅側の一部だけ、そのほかはドーンと長い通路が続いています。途中にあるビルやホテルへの入り口があるので、通路として使うのも便利。
地下鉄の博多駅から祇園駅まで続くこの通路、総延長は560m。けっこう長いですよ。
せっかくなので通路を歩いてきました。
祇園駅の看板を見つけた場所から改札まで、まだけっこう距離がありますね。
今回紹介した展示は博多駅側にあります。祇園側にもあるかな?と思ったのですが、ありませんでした。
こういう展示を見て思うのですが、博多にちゃんとした郷土資料館がほしいですよね。特に古代から鎌倉、戦国までの様子を知ることが出来るような。平清盛による博多の港湾開発とかムネアツ!
一回目の元寇後に鎌倉幕府が本気で防御態勢を敷いたときの城塞都市っぷりとか、鎌倉幕府末期の南北朝時代。あと大内、大友、龍造寺が戦った時代、そういえば毛利もちょっかい出してましたよね。そういった豊臣秀吉が来る以前、博多激動の時代をもっとガッツリやってほしいですよ。まあ、金になりそうにないから無理か…
という事で、今回はおしまい。祇園駅連絡通路を歩いてきたよ!レポートでした。
「祇園駅方面連絡通路」
場所:JR博多駅から市営地下鉄祇園駅
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