博多中洲の南端を見たことがあるかい?清流公園にある「博多町家寄進高灯籠」

中洲燈篭

博多の歓楽街として有名な中洲、その南端部は大きな明治時代の石燈篭が立つとっても素敵な場所でした。

「博多町家寄進高灯籠」中洲の最南端部にある大きな明治時代の燈篭

キャナルシティ博多へ行った際、ふと見た先に立派な石燈篭を見つけたんです。なんだか歴史と謂れのありそうな石燈篭ですよね、いったいなんだ?と思いスマホでググってみると「博多町家寄進高灯籠」という燈篭で、かつてキャナルシティ博多の敷地内に存在した遊園地「向島」の名残りだというじゃないですか。これは見に行かねばなりません。

中洲燈篭1

ということで、キャナルシティ博多からみた中洲の南端部。そこに建つ石燈篭がコチラ。見るからに何かありそうですよね。

中洲燈篭2

早速見に行ってみようと、キャナルシティ博多1階へ。

中洲燈篭3

出てみると目の前に公園があり、その先に燈篭が見えます。

中洲燈篭4

博多の歓楽街、中洲の南端部は清流公園という公園になっています。

中洲燈篭5

橋を渡ればそこは中洲、大人たちのワンダーランド…なんだけども、貧乏な安川には全く縁のない土地。「ぐぬぬ…いつの日か俺も」という気にさせてくれる場所、ハングリーな気持ちとチャレンジする意志を持たなければ生活なんてよくなるはずもない。

中洲燈篭6

ふと視線をずらして先にある建物群を眺めれば、目の前のビルは風俗ビルの群れ。有名な中洲の屋台も近くにあって、商業ビルと風俗ビルと観光スポットが隣接するカオスな場所。良い場所なんです。

中洲燈篭7

橋の上から中洲方向、川と橋と街並み。東西を川に挟まれた博多らしい景色。この川は長く博多の街を守る堀の役割を果たしていたんです。

中洲燈篭8

博多中洲の最南端にある清流公園に入ってきました。多くの人が訪れる憩いの場になっていますが、目の前は風俗街、ココから先の川沿いには中洲の屋台。これほど普通の生活と接近しているんです。歓楽街に活気がある街は地域全体が活性化すると言うし、その象徴的な場所なのかもしれません。

中洲燈篭9

そのまま南のほうへ振り返ってみると、ここが中洲の最南端。キャナルシティ博多から見えていた大きな燈篭が建っていました。

中洲燈篭10

この燈篭の名前は「博多町家寄進高灯籠」。明治時代に博多で漬物屋を営んでいた八尋利兵衛が発起人となり、博多に遊園地をオープンさせた記念の燈篭。出資者の屋号が刻まれていて、スポンサー広告のような役割を果たしていたんです。

遊園地は現在のキャナルシティ博多敷地内にあり、住吉向島遊園地として1897年にオープン。東京にあった向島遊園地をモデルにして建設されました。

この八尋利兵衛という人はかなり行動的な人で、川端商店街で行われる年末セール「せいもん払い」を始めた人でもあります。せいもん払いは大阪で行われていたセールを見て博多でも!と実行して大当たり。さらに東京の隅田川で行われた両国花火大会を見て、1917年福岡でも那珂川で花火大会を実施。これが後の大濠花火大会へと繋がっていきます。

遊園地は無くなりましたが、川端商店街の「せいもん払い」や、福岡で夏のイベント「大濠花火大会」の生みの親、凄い人だったんですね。

中洲燈篭11

もともと燈篭は遊園地敷地内、現在のキャナルシティ博多敷地内にありましたが中洲へ移築されました。その理由が書かれているのがコチラの石碑。

遊園地跡地は戦後、無断建築などが横行しスラム化。また地盤も弱く燈篭が傾き倒壊の恐れもあったことから、この地に移築しました。というような事が書かれています。

中洲燈篭12

川の通行標識にでも使われていたのかと思ったら、いろいろと博多の歴史に関する由緒のある燈篭だったんですね。

中洲燈篭13

灯篭をじっくりみていくとまず台座の部分に大きく魚市場と彫られていて、他にも多くの人名が彫られています。かなり読みにくくなってきてるけども、屋号と名前が彫られているように見えますね。

中洲燈篭14

灯篭自体にもビッシリと屋号が刻まれていて、黄色枠で囲った部分には発起人の八尋利兵衛が経営していた「八尋金山堂」の名前もあります。

中洲燈篭15

ここには400年の歴史を持つといわれる高取焼「元祖」と彫られています。

中洲燈篭16

この岩田屋は現在の岩田屋デパートと同じお店なんでしょうか、呉服商と書かれている事から間違いないと思うんですけれど。岩田屋といえば福岡のローカルデパートだったのですが、債務超過により現在は三越伊勢丹HDの完全子会社。福岡三越と合併し、福岡で知名度の高い「岩田屋」の屋号を全面に出して現在も天神で営業中。

中洲燈篭17

一番上まで屋号が刻まれていて、ここに刻まれた会社の歴史を辿っていくと面白いことになりそうなんだけれども、派遣社員の片手間でやってるブログでは圧倒的に時間が足りない。もし機会があれば、いくつかピックアップして特集してみたい。ぜひ、いつの日か、メイビー…

とにもかくにもこの燈篭、明治から大正にかけての博多経済界を知るうえでとっても貴重な資料ですよね。本当に興味深い燈篭がある清流公園、景色もなかなか素敵なんです。

中洲燈篭18

中洲最南端からの眺め、南側へ那珂川の上流方向。

中洲燈篭19

そして北は歓楽街のど真ん中、イカの活きづくりで有名な「河太郎」と周りに広がる大人のワンダーランド。目の前から風俗街ですからね、中洲南部は風俗店の密集地域。

中洲燈篭20

そして西側に流れる福岡と博多を隔てる那珂川。対岸は春吉というところで、もう少し下流、北に行くと天神です。この川沿いの遊歩道には、夜になると中洲の屋台が立ち並びます。

いかがですか、この清流公園。周りを川に囲まれた中洲の公園で周りが開けていますから、街中にあるのに解放感があります。キャナルシティ博多に立ち寄ったついでに、ここへ立ち寄ってみるのも良いんじゃないでしょうか。とっても博多らしい場所ですよ、ちょとカオスなところがね。活気のある街は、こういう混沌から生まれるのです。



「博多町家寄進高灯籠」

住所:福岡市博多区中洲1丁目7(清流公園)

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