福岡天神に残る19世紀イギリス風の見事な洋館、古い建物が次々と姿を消していく中で大切に守られてきた建物。
「福岡市赤煉瓦文化館」内部まで写真を使ってバッチリ口コミレポートします
福岡市天神1丁目の昭和通り沿い、ちょうど博多から中洲を経由して天神に至る入り口ともいえる場所に建つ美しい洋館。この建物は明治42年(1909年)に竣工した旧日本生命保険株式会社九州支店ビル。設計は東京駅舎などを手掛けた事で有名な辰野金吾・片岡安が設立した辰野片岡建築事務所(1905年創設)。
昭和通りを天神から中洲方向へ歩いてき、ちょうど那珂川のほとり、橋の手前に見事な煉瓦造りの洋館「福岡市赤煉瓦文化館」。
博多町家ふるさと館に展示されていてた明治末期ごろに中洲から天神を撮影した写真にもシッカリと写っています。江戸時代には博多と福岡を隔てる桝形門があったそうなのですが、上の写真を見る限り明治期には既に跡形もなくなっているようですね。
赤煉瓦館側から中洲方面を撮影した写真もありました。
同じ場所を今見てみるとこうなります。ちょうど赤煉瓦館から中洲方向を撮影。
海の方を見てみると、博多ふ頭のポートタワーが見えています。こうやって見ると福岡って港町なんだと、改めて実感しますよね。
赤煉瓦館の方に視線を戻すと、この建物は細かい所まで細工がされていてとても凝った造りになっていることがわかります。一番角の塔のようになっている部分は銅板を鱗のように重ね合わせていたり、丸い窓もモダンでとても美しい。
窓枠や壁面にも石の装飾が複雑に配置されていて、見ごたえ十分。赤煉瓦と白い石を組み合わせる外壁は、19世紀のイギリスで流行した建築様式。
まるで宮殿のような屋根の造り。
この福岡市赤煉瓦文化館、外から見るだけでなく無料で内部も公開されています。公開時間は9:00から21:00と夜も公開されているところが嬉しいですね、休館日は毎週月曜(祝日のときは翌日)と年末年始。
国の重要文化財に指定されているため説明の銅板があったのですが、かなり読みにくい状態。
1909年(明治42年)に旧日本生命保険株式会社九州支店として竣工。設計は東京駅舎などで知られる辰野片岡建築事務所(辰野金吾・片岡安)が担当した。
1969年(昭和44年)に国の重要文化財に指定された後に日本生命保険が移転したため、福岡市教育委員会に移管され福岡市歴史資料館として開館。歴史博物館として運用されていたが、施設が手狭になったことから、1990年(平成2年)10月18日に博物館機能を福岡市博物館に移転。その後、重要文化財としての建物のみ公開してきたが、2002年(平成14年)に福岡市文学館として再開館した。
Wikipediaより
外から一通り建物を見学して、いよいよこの豪華な玄関から建物の中へと入っていきましょう。
扉から中に入ると玄関ホールのようになっています。まずは正面の入り口扉。
左手には受付と思われる窓口、アンティークな感じがとてもレトロで素敵です。
木枠にはめ込まれている金属製のモチーフは、曲線を多用した美しいデザイン。この奥が事務室だったそうです。
館内ではこのような見どころマップが無料配布されています。
先ほどの受付窓口の内側、事務所として使われていた部屋に入ってきました。ここは福岡市文学館として、福岡にまつわる書籍などが展示されています。
事務室に併設して設けられている支店長室、事務室とは壁と扉で隔てられ個室になっています。
最初に入った玄関から正面の扉を入ると、この階段室に出ます。広角レンズじゃないので、少し階段登って上から撮影。
階段室から地下へと降りる階段の途中、1階を支える鉄骨に製造メーカーの刻印が入っています。JRの古い駅なんかでも駅舎を支える鉄骨に使われているレールに、メーカーの刻印が入っていますよね。明治時代はまだまだ日本の製鉄技術が低かったのでしょう。
ここに使われている鋼材には、イギリスの大手製鉄会社ドルマンロングの社名が刻まれています。当時の日本ではこのサイズの鋼材を作る事が出来ませんでした。
地下は関係者以外立ち入り禁止になっているので、1階に戻って応接室の談話室へ。ここには赤煉瓦館に関する資料などが展示されています。
建物内に入ってずっと思っていたのですが、各部屋の天井がとても凝った造りになっています。生命保険会社だけに華美な装飾は無いんですけど、こういう細かい所はシッカリと造り込まれていますね。
談話室の奥にある喫茶室。とてもモダンで美しい部屋。カウンター上には古い写真が展示されていました。
喫茶室のマントルピース(暖炉の周りの装飾)がとても立派ですよね、非常に格調高いというかオシャレです。
階段室は吹き抜けのホールのようになっていて、天井の装飾が見事。
地味なんだけども、この階段を受けているアングルの装飾も凝ってるんですよ。
植物的な曲線を多く使っていて、階段の手すりがとても綺麗。
二回に来て目を惹くのがこの螺旋階段。武骨な鋼鉄製なんだけども、手すりの付け根の曲線が全体を柔らかくしてます。これが無かったら軍艦の階段みたいになっていたところ。
螺旋階段の先は見学エリアではありません。ちょうど外から見て角にあった、一段高くなっている丸い場所。内部写真が螺旋階段の脇に展示されていました。
2階は4つの会議室からなっていて、営利目的以外なら一般の人も有料で利用できます。
まずは1の会議室。どうですかこれ、文明開化音がしてきそうな会議室ですよね。
続いて2の会議室。3と4は使用中だったので、残念ながら中を見ることが出来ませんでした。
2の会議室の天井は今までとは違った豪華さですね、会議室というより応接室として使われていたのではないでしょうか。
見る事が出来なかった部屋は、廊下に写真で紹介されていました。
天井の作りは部屋の用途やイメージで作り分けていたんですね、これは注目ポイントですよ。会議室の写真以外にも2階廊下にある掲示板には、こういった紹介文が掲示されていました。
2階の見学を終え、1階に降りて便所棟へ向かいます。ここには灰皿も設置れているので、喫煙者の方も安心。
トイレ自体は白で統一された清潔な今風のトイレなのですが、上を見上げてビックリ。ここの天井も凄いですよ、やっぱ洋館の天井は絶対に見逃せないチェックポイントです。
内部の見学を終えて外に出てみると、ライトアップ用の照明がたくさん取り付けられていました。夜になると美しくライトアップされるので、博多方面から天神へ夜間に自動車で移動される方は昭和通りを利用することをおすすめします。
ということで福岡市赤煉瓦文化館を紹介してきたんだけども、ぶっちゃけこれだけじゃとて紹介しきれません。というか内部で展示されていた様々な展示物、解説文などは実際に赴いて見てもらうのがいいでしょうね。福岡天神の観光スポットとして、かなり見どころがある場所です。出張で少し時間が余った時など、市役所からも近いので足を運んでみてはいかがでしょう。
「福岡市赤煉瓦文化館」
住所:福岡市中央区天神1丁目15-30
入館料:無料
開館時間:9:00から21:00
休館日:毎週月曜(祝日の場合は翌日)、12月28日から1月4日
※この記事は私が訪れた時のものです、現状と異なる場合があります。最新情報、詳細はご自身で確認することをおすすめします。
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