「あかちょこべ」とは何か…?博多弁であっかんべ~のことだと言うじゃないですか。
「博多あかちょこべ」川端商店街から歩いてすぐ
明太子や博多ラーメンにもつ鍋など、数ある博多グルメの中で地元民にもっとも愛されているグルメ…それは「うどん」だったりする。
えっそうなの?博多なのに?
そう聞かされると思わず膝カックンされたような気分になるけども、なんだかんだで博多の人はうどんが大好き、四国の讃岐などとは一味違う柔らかいぶにょぶにょしたうどんやら柔らかいくせにコシがあるモチモチうどんやら正統派プリプリの讃岐風うどんまで、長いごぼう天を使って「槍でござ~い」なんてうどんもある。とにかく老舗から個性あふれる新店までどこもかしこもうどんなのです。
そんな数ある博多うどんの中で、メッチャ旨いくせに何か変…といううどん屋があると聞いたので行ってきました。
櫛田神社のすぐ近く、参拝時のランチに最適
櫛田神社の北門前、節分のおたふく飾りが見えるけども普段は無いからね。
お店があるのは博多の鎮守、観光名所としても有名な櫛田神社のすぐ近く。地下鉄で中洲川端駅下車、川端商店街の出口からアーケードを南下して櫛田神社方向へ。ガイドによると5分くらいらしいけど、実際に測った訳じゃないのでなんとも…そんなに遠くないよ、うん。
櫛田神社の北門を撮影した位置から180ターンして、振り返って撮った写真。道路をわたって数件先に「あかちょこべ」
行くのは初めてだったのでグーグルマップで確認しつつ、まずは櫛田神社へ参拝。節分の前日だったので飾りも人もすごいこと、神社はすっかり節分仕様、巨大なおたふく面が飾られた門は派手でした。
現地到着から風を読みつつ方向を確認し、グーグルマップと自身の現在地との整合を取りつつ店の位置を確認。あ、あそこだ!
ここが博多あかちょこべ、オープン前なのに既に待っている人がいる。
オープンが11時30分ということで、昼時に突っ込むのは流石に勇気が必要なので開店直後で来客が少ない時間を狙おうとやって来たけども、既に先客がいた模様。明らかに日本語ではなかったけども、こんな場所まで観光客がくるようになったのね。日本に来た思い出に、おいしいうどんを食べてくだしゃい。
博多あかちょこべはうどん居酒屋なので、天ぷらやらなべ物やらホルモンやら珍味やら、いろんな料理の提灯がぶら下がっている。
おっ、博多うどんの店だけに、すんごく柔らかい物腰のオッチャンが出てきて少しフライング気味に店を開けてくれました。写真オッケーですか?と聞くと笑顔で「大丈夫ですよ」だって。すんごく感じのいいオジサン。それでは店内に入っていきましょうか。
ん?やかんがイッパイ
中に入ると意外と狭い。1階はカウンター、2階には座敷席がある。
店に入って一番最初に目についたのは、カウンター上にかけられた「やかん」の群れ。普通なら沢山必要になる事などないはずだが…その秘密は名物メニューに関わっている。1階の店内はオープンキッチンとL字になったカウンター。2階には座敷席がありテーブルが用意されている模様、先に待っていた3人組は座敷へ行ったのか姿は見えなかった。
創作うどんとでもいうべきか、メニュー表の表面にはなかなか個性的なメニューがずらり。
カウンターに着座してメニューを確認。写真を見れば分かるけども、さっきのやかんは「ずぼらうどん」というメニューに使われる。博多では有名な名物うどんなのです。
とりあえず「ずぼらうどん」を注文したんだけども、ほかのうどんも美味しそうなんだよね。スペアリブ肉うどんとか強烈に煩悩を刺激されるメニューがあるんだけども、人気ナンバーワンという元祖キーマカレーうどんも注文してみよう。老いたりとはいえ元自衛官、うどん2杯くらいどうということはない…ハズ。
裏面もご覧くださいと書いてあったので撮ってみた。
裏に書かれたメニューはオーソドックスなうどんからトッピングを選べるうどんなど、塩うどんなんて食通がうなりながら食べそうなメニューもあった。ムジナぶっかけも美味しそうだよね、キツネとタヌキ、両方の具をいれたぶっかけうどん。かま玉もいいよね。
ご飯ものとパクチーうどん!
そういえばパクチーって流行りましたよね、カメムシみたいな味がするのでぶっちゃけ苦手だけども。ご飯ものもあって、ミニたぬき丼とか美味しそう。
調味料が置かれたトレー、奥に大好物が!
カウンターに置かれた調味料は柚子胡椒に擦った生姜、七味唐辛子。柚子胡椒があるところが九州らしい、ショウガもうどんとの相性抜群。奥の方に見えてるのはまさか…
大好物
これはアレですよ、とろろ昆布。これ旨いんですよね、お湯に入れるだけで昆布だしがとれるし。子供の頃、実家に常備しているかつお節ととろろ昆布をお椀に入れて、熱湯注いで醤油をたらした、簡易お吸い物をよく作って飲んでました。遠足の時なんて、水筒に入れて持って行ったくらい。コーラより断然美味しかったね、簡単に作れるし。
やかんうどん!もとい「ずぼらうどん」来ましたー!
マジでうどんがやかんの中に…
メニュー見たり写真撮ったりゴソゴソしながら待つこと5分くらい、博多あかちょこべの名物メニュー「ずぼらうどん」がやってきました。ほんとにやかんに入ってるのよ、やかんを容器にした釜揚げうどんってやつ。容器にちゃんと盛らないから「ずぼら」してるわけですね、箸は注ぎ口に突きさしてるし。このビジュアルからつけられた「ずぼらうどん」という名前、納得。
うどんを浸けるツユ。
釜揚げだから別の容器に入ったツユに浸けて食べるんだけども、この中には納豆が入っています。苦手な人は注文時に「納豆抜き」と伝えれば抜いてくれるので一安心。だけども忘れたら入ってるからね、注文時に言うのを忘れずに。
ひとくち味見してみると鰹がきいた出汁に九州らしい旨みの強い醤油、甘辛系の濃厚なツユ。すっごく味が上品。このまま飲めば、美味しいつゆだくだくだくだく納豆になるはず。間違いない。
少し茶色がかった自家製うどん、栄養ありそうでしょ。
やかんから自慢の自家製うどんをリフトアップしてみると、全体的に茶色っぽくて粒々がまざった珍しいうどん。普通の白いうどんと違い、小麦の胚芽を配合している胚芽うどん。胚芽は米にもあるんだけど、穀物の芽になる部分のこと。白い部分は糖で、この胚芽が小麦の本体。ビタミンB1などの栄養を多く含んていて栄養満点です。
つゆにタップリ投入
やかんの高さがあるために、うどんを高く持ち上げる必要があるんだけども、ツユに入れたらコレ、もうね、メッチャ美味しそう。このビジュアルはヤバいでしょ。
いよいよ初ずぼらうどん
どうせだから口の中一杯に頬張ってみようと、ずずっと啜ってみるとコレがメッチャ美味しい!まず何と言ってもうどんが少し甘くて旨みが強い、ツルっとしてるんだけど柔らかく、それでいて弾力のあるモッチリうどん。つゆも濃いめでカツオと納豆がまろやかなコクを出していて、かなりガッツリした味。なんだけども、醤油とダシがベースなので後味はスッキリして切れがいい。
ショウガを入れると風味が立って更にグッド
とろろを投入
うどんを食べ終わった後はツユをやかんの茹で汁で割り、とろろ昆布を入れて納豆と一緒にいただく。意外なほどシッカリした和風スープになってビックリ、最後まで美味しく味わいました。なまえは軟弱だけど、ずぼらうどん侮り難し。
人気ナンバー1の実力!元祖キーマカレーうどん
出汁とあられのような揚げ玉が付いた元祖キーマカレーうどん
スタッフの配慮によって「ずぼらうどん」を食べ終わった直後に提供されてきた博多あかちょこべ人気ナンバー1という「元祖キーマカレーうどん」なんだけれども、出汁やあられのような揚げ玉が一緒に出てくるあたりがニクイというか、なめとったらただでは済まさんぞ的な店のこだわりを感じます。とにかくウマそうだ。
周りの客はほとんどがこのうどん。人気ナンバー1と書きながら、実は本当の人気じゃなく売りたいから1位にしてたりとか普通にあるんだよね、お店って。そういう業界の汚い部分も見てきたから安易に信用はしないんだけども、確かに皆注文しているので間違いなさそう。これは期待できまっせ。
まず第一形態、混ぜて食え!
スタッフに教えられた食べ方によると、この元祖キーマカレーうどんは3段階の変化を楽しむものらしい。どのように変化させるかというと、まずは第一形態「混ぜる」そして第二形態「揚げ玉入れよ!」と続き、最後に第三形態「出汁入れ」という順番で食べるらしい。
まずは第一形態、全部混ぜて、シッカリ混ぜて味わってみる。
キーマカレーの粘度が高くシッカリ絡む。
一口食べるとマッタリとしたキーマカレーが和風のかつお節とベストマッチ、カレーって鰹出汁なんかを入れると味が引き締まってキレがでるんですよ。我が家でカレーを作るときは、必ず出汁の素を入れます。うどんがモッチリしていて、キーマカレーの粘度が高いのでよく絡み、濃厚なカレーと相まってマッタリ旨い。そして鰹がしっかりと味をまとめてくれる。濃厚だけど和風の優しい味わい、美味しいねぇ。
第二形態カリッと香ばしいあられのような味と香り、揚げ玉をプラス。
サクサク食感と桜エビの香り
第二形態に移行して揚げ玉を振りかけて食べてみたんだけれども、この揚げ玉があられのようなサクサクカリカリ、食感が最高にいい。すごく香ばしく揚がっていて、ほのかに桜エビの香りがついている。かつおと桜エビで完全に和風なんだけども、そこへキーマカレーという濃厚なうま味ペーストが纏わりついて旨みに旨みを重ねた美味しさ。だけど和風なのでくどくならずに優しい味なんです。
最終形態、出汁入れ
ここまでガッツリと元祖キーマカレーうどんという創作うどんを味わってきたわけだけども、いよいよ最後の仕上げでもある最終形態に変化させるために出汁入れを行う。
出汁を入れてカレーうどんぽくなった。
出汁を入れてスープを味わってみると、和風だしで割ったキーマカレーがすんごくまろやかで美味しい。ここまで来ると和風が勝つんだけども、しっかりとコクのあるキーマカレーが味を下支えしている。揚げ玉の風味も抜群。モチモチのうどんも美味しい、最後はカレーうどんになってツユも全部飲んじゃいました。
なるほど、うどんの激戦区でもある博多の人気店、流石で御座います。
博多の創作うどんが凄いらしい
筆者は香川の高松にも転勤したことがあって、香川高松、徳島、愛媛松山とうどんの本場である四国に合わせて2年ほど暮らしたのだけども、博多のうどん、特に創作系のうどんの美味しさにビックリしました。博多はうどん発祥の地とも言われていて(諸説ありすぎ)うどん店が多い事は知っていたんだけれども、昔から博多うどんと呼ばれていた老舗の丸天うどんやごぼ店うどんだけでなく、ニュージェネレーションというか様々な工夫を凝らした創作うどんのお店がジャカジャカ誕生していて、鎬を削り切磋琢磨しているんですよね。
存在自体は知っていたんだけれども、あまり訪れる事がなかった創作うどんの店舗群。讃岐との違いは、何と言ってもそのバリエーションでしょうね。美味しい店を見つけて訪問していくので、博多うどんにもぜひ注目してもらいたいですね。
「博多赤ちょこべ」
住所:福岡市博多区冷泉町7-10
営業時間:「月~土・祝」11:30から15:00、18:00~麺売り切れまで(およそ21:00~22:00)、「日」11:30~麺売り切れまで(およそ15:00前後)
定休日:不定休
※この記事は私が訪れた時のものです、現状と異なる場合があります。最新情報、詳細はご自身で確認することをおすすめします。
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