怪しく灯るネオンライト、その光は紛れもなく男を引き付ける誘蛾灯。博多出張と聞けば中洲で遊ぶことを楽しみに飛行機に飛び乗る人も多いという、福岡と言えば博多、博多と言えば中洲、ここは全国にその名をとどろかせる地方有数の歓楽街。
もちろん毎日でも遊びに行きたい場所だけど、貧乏人はお呼びじゃないというシビアな世界。もちろんここ何年も夜の中洲なんて行ってませんよ、そんな暇がないんだもの……いや、言い訳はよそう、ぶちゃけ金がないのよ貧乏だから。
そんな貧乏人が中洲に訪れるのは、人通りもまばらな昼の中洲。今日のお目当ては中洲名物と言われる「中洲ブラック」を食べる事。お邪魔したのは「ホウテン食堂」ここなら手軽に中洲グルメを楽しめます。
ホウテン食堂 奉天本家
中洲のメインストリート
夜になるとネオンが瞬き賑やかになる中洲のメインストリート、昼間は人通りもまばらな閑散とした場所です。この界隈は街としての役割からして昼間に営業している店は僅かなのですが、ランチ営業している店がないわけじゃありません。
ホウテン食堂 奉天本家の外観。
今回のお目当て、中洲ブラックで有名なホウテン食堂もそんなお店の一つ。奉天本家と書いてあるけども、かつて中国を支配した清国の首都「奉天」と何か関係があるのでしょうか。公式サイトを見たのですが昭和二十九年創業としか書かれておらず、お店の歴史については触れられていませんでした。
ホウテン食堂奉天本家メニュー
店頭にかけられたメニュー看板。
ホウテン食堂といえばなんといっても中洲ブラックと呼ばれる「奉天中華そば」が有名。豚骨ラーメンが幅を利かせる福岡の街で、伝統のしょうゆラーメンを守り続けてきた老舗です。
手書きのメニュー看板。
中華そばはブラックだけでなく、白と赤もあるようです。昼のメインとなるのは、醤油ベースの奉天中華そば(中華ソバ黒)、激辛麺である奉天激辛麺(中華ソバ赤)、豚骨スープの中洲とんこつ(中華ソバ白)、昭和のチャンポンというラインナップ。
他につけ麺や単品メニューが用意されていて、場所柄から夜は居酒屋になるようです。
ホウテン食堂の店内。
店内に入ると少し暗めの照明、各所にスポットライトがあり壁には古い写真が一面にプリントされています。全体の印象としては、一見すると日本ではないみたいに感じます。キッチンとカウンターとを隔てる格子窓がそう思わせるんでしょうか。
海外だと来客スペースとスタッフのスペースとの間に格子窓を作ってる店がありますよね、特に東南アジアでよく見かけた気がする。
奥には更に客席があるようです。
ランチタイムだから奥の客席は使われていないようです。ビールサーバーが置かれたパントリーを抜けて、さらに奥にも客席があります。
ホウテン食堂のランチメニュー。
カウンターに座り、備え付けのメニューを拝見。外のメニューとは少し違っていて、コチラはランチメニュー。居酒屋メニューが無くなり、博多ニラソバや奉天カレー、博多皿うどん、黒チャーハンといった料理が増えています。
注文するのはもちろん中洲ブラック、奉天中華ソバ。
スープが黒い「中洲ブラック」
カウンターに備え付けの調味料。一味唐辛子、コショウ、餃子のタレ、ラー油。
カウンターの上にはメニュー写真が並んでいます。
ホウテン食堂の中洲ブラック
キョロキョロとしながら待つこと数分、ついにやってきました奉天中華ソバ。黒いスープの中華ソバ、中洲ブラックです。
まずはスープから味わおうとひと掬い……黒い、ほんと黒いよこのスープ。
レンゲで掬うとその黒さがより際立ちますね、見た目は相当なコッテリに見える、しかも何かがたくさん浮かんでいます。どんな味がするのか期待に胸を膨らませ、そのまま口に運んでみると、これが意外なほどスッと入って来る。
アッサリとは言わないけど、博多らしい甘い味付け、グッとくるコクのあるスープ、だけど切れがいい。油がたくさん浮いていてギトギトしてそうだけど、全くそんな事はありません。
さらに言うと、スープの表面に浮いてるのは玉ねぎですね、みじん切りの玉ねぎ。これがとっても効いていて、味のキレをよくして口の中をスッキリとさせてくれる。コクがあるので食べごたえ十分、クセはあるけど美味しいですよコレ。
麺は長浜系の博多らーめんより少し太く、普通の中華麺より細いという中細麺。
麺は中細麺、ツルっとした食感、噛み応えもあってのど越し十分。コクのあるスープなので、麺がスープを持ち上げすぎないのが良いのかもしれない。さすが伝統の味、バランスがとてもいい。
厚めにカットされた豚バラチャーシュー。
続いてチャーシュー、普通のチャーシューとなんだか様子が異なります。そのまま一口で食べてみると……これはアレだ、豚の角煮だ。甘辛い濃厚な味付け、どう食べてもこれは角煮、とても美味しい。
中華ソバに角煮が入ってる、なんだか得した気分です。
シナチクがデカい。
このシナチクはデカい、大きめにカットされたシナチク。食べごたえありすぎ、シャクシャクした食感がとても美味しい。竹の子の煮ものを食べてる感覚。
コクがあるけどキレがいいスープと、濃厚な豚角煮チャーシュー、そして味をスッと切ってくれるこのシナチク。みじん切りの玉ねぎもとてもいい仕事をしていて、見た目に反して全体のバランスが抜群にいい中華ソバ。見た目に惑わされてはダメですね。
名物と言われるだけはある
福岡独特の甘い味付けが苦にならなければ、これはクセになる味かもしれない。さすがに毎日は無理だけど、定期的に食べたくなるようなハマる要素がありますね。かなり個性的な中華ソバなので好みは分かれるかもしれないけど、これくらい個性が無いと名物にはならないでしょう。
一つだけ贅沢をいうなら、生姜を効かせるともっと美味しかったかも。ぶっかけうどんのような感じで、すりおろした生姜が欲しかった。
中洲で60年以上にわたって愛され続ける中洲ブラック、たいへん美味しゅうございました。
「ホウテン食堂 奉天本家」
住所:福岡市博多区中洲2-6-12 第5ラインビル 1F
営業時間:平日11:30から翌3:00(LO翌2:30)、週末(土日・祝前日)11:30から翌4:00(LP翌3:30)
定休日:日曜日、年末年始※月曜日が祝日の場合、日曜日営業・月曜日店休
※この記事は私が訪問した時のものです、現状と異なる場合があります。最新情報、詳細はご自身で確認することをおすすめします。
ホウテン食堂奉天本家公式サイト⇒http://www.houten-hakata.com/
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