博多駅の北側、博多バスセンターの裏から承天寺まで続く通りは歴史を感じる観光ストリートになっていました。
「承天寺通り」博多千年門に承天寺、博多の歴史観光スポット
「承天寺」というお寺は有名ですが、承天寺通りという道がある事を知らない人は多いんじゃないでしょうか。承天寺をはじめ博多千年門がある通りで、歴史地区として綺麗に整備された通りなんです。とても風情があって、ちょっとした散策におススメのスポット。
ここはちょうど博多バスターミナルをJR博多駅側から見た裏側。
承天寺通りの始点は博多駅の北側に隣接する「博多バスターミナル」の裏手、そのまま北へ10分ほど歩いたでしょうか、終点は承天寺でその先は博多の寺町御供所町。
そこから真っ直ぐ、北方向の承天寺へ伸びている道が「承天寺通り」です。
バスターミナルから道路を渡って通りの入り口。承天寺通りのと書かれた標識が建っていました。
標識を過ぎて承天寺通りを歩き始めたのですが、最初は何の変哲もない地方都市の風景。博多駅の間近なんだけれども、とても静かな街並み。人通りも殆どありません。
しばらく歩いていると、右手に東方向へ伸びる路地を発見。なんだか昭和の雰囲気が残っていてレトロな通り。思わずオヂサン吸い寄せられそうになりますよ。やっぱ人ってさ、少し古臭く寂れていて、雑然とした場所のほうが落ち着くんじゃないでしょうか。
そう思うのは貧乏なオッサンだけかもしれませんが…
博多龍龍軒の看板。いいですねぇ、こういう髭のオッチャン。いかにも昭和の看板です。テレビCMなんかもやっているという、ケッコウ有名なラーメン屋のようですが聞いたことありません。それよりも看板の上に書かれた「駅前小町」が気になるっっつ!
この駐輪場は出来町公園。旧博多駅の碑がある公園で、今の博多駅ができる以前、明治から昭和半ばまではここに博多駅があったんです。
通りの先には博多千年門が見えてきました。この門からが本来の博多、江戸時代には博多千年門の少し西側に博多の入口である辻堂口がありました。そしてここには堀が彫られ、博多の町を守っていました。
博多千年門の向かって左側には「中世博多うどん 香月庵」があります。ここは1890年創業という、100年以上続く老舗製麺所の直営店。人気のお店なんです。
目の前にドーンと大迫力の博多千年門。2014年6月、博多寺社町の入り口として建てられました。
江戸時代の博多の博多の街には、この近くに辻堂口という入り口がありました。博多千年門はそこに建てられていた「辻堂口門」にならった木造の四脚門、中世博多の寺社様式で建てられています。ただ新しいのが残念かな、時代を経た建物が持つ風格はまだ備わっていません。
そして本来博多の町といえば、この門から海に向かって広がる地域。よって現在の博多駅は、博多の街から南に大きく外れているんです。
博多千年門をくぐると承天寺通りの景色がガラッと変わります、ここから中が博多という演出なのでしょうか。
いいですねぇ、両サイドがお寺、純和風テイストの遊歩道。ただ自動車が通るんですよ、それも結構な頻度で。もうなんというか、風情も何もぶち壊し。そこそこ交通量があるので、周りの景色を楽しみながら渡ろうとすると轢かれそうになります。
最近の自動車はハイブリッドで音がしないから本当に危ない。安川も写真を撮っていて轢かれそうになりました。どうせなら時間帯で許可車両以外進入禁止にすればよかったのに。
それでも美しい通りに違いはなくて、両サイドにお寺が立ち並ぶ和の空間。門をくぐって最初に見えてきたお寺は人形供養で有名な「祥勝院」です。
山門をくぐって正面に「人形堂」がありました。その奥には本堂や庭がありますが、規模としては大きくありません。
続いて右手に門が見えてきました。ここが承天寺の入り口。承天寺の境内は通りの右と左に別れていますが、もともとは大きな一つの敷地でした。二つに分かれたのは現在の博多駅整備事業に伴う区画整理によるもので、寺内を市道が通ったために分断されたんですね。で、いま歩いている承天寺通りこそがその市道。
門をくぐると綺麗に手入れされた境内が広がります。奥に大きな建物。
「承天寺」は太宰少弐武藤氏によって創建、開山は臨済宗の僧「聖一国師」。太宰少弐武藤氏といえば筑前、肥前(佐賀・長崎)、豊前(小倉から大分県中津・宇佐)、壱岐、対馬を領有し、北部九州の最大勢力として君臨した名門、守護大名少弐氏の事。武藤氏は藤原氏の流れ、武蔵を本拠とした藤原氏で「武藤」を名乗ったと言われています。その武藤氏が大宰府の太宰少弐に任じられ、少弐氏を名乗りました。
少弐氏は九州で唯一「下剋上」によって滅びた守護大名家。周防山口の大内氏からの侵攻を受け、博多を巡って争いますが敗北。本拠地であった筑前大宰府を追われ、肥前佐賀に本拠を移すも北から大内の執拗な攻撃によって衰退していきます。最後は肥前佐賀で臣下の龍造寺隆信に攻め滅ぼされました。
門をくぐってすぐ、饂飩(うどん)と饅頭の発祥地として石碑が建てられていました。この手の虚実定かじゃない発祥ネタはどうでも良い話しですよね。地元自慢、発祥の地だっ!て誇りたい気持ちもわかりますけど、うどんは諸説ありすぎてもう何が何だか分かりません。ぶっちゃけどこが発祥か判断がつかない。饅頭は福岡と奈良の二つ、こちらはチョット信ぴょう性があるでしょうか。まあ、だからどうしたという話なんですけどね。
それこそ室町時代頃から続く創業500年を超える老舗が近くにあるとかなら分かりますが…発祥といってもねぇ、せめて江戸以前から続く数百年の歴史を持つ店くらい近くに無いと「だからどうした」でおしまいです。
饅頭にはこういう話もあって、中国大陸ではもともと饅頭の餡は肉だったそうですが、日本の仏教は肉食を嫌ったので小豆餡になったそうです。(仏教は本来肉食を禁じていません。)
話がアチコチに散ってしまいましたが、再び散策に戻って承天寺の境内には大きな建物があり迫力満点。
これは見事な唐門。唐門とは唐破風(曲線の破風)が付いた門。かなりの年代物だと思われます、とても美しいですね。
おぉ!見事な庭、そして本堂でしょうか。大迫力!なんですが、立ち入り禁止なんですよねぇ。はぁ、かなりガッカリ。
グルッと回り込んで、本堂正面にある門越しに庭を撮影。とうぜんココから中へは入れません。庭の緑と白、紅葉の赤が混ざってとっても綺麗な写真になりました。
承天寺通りを挟んでもう一方の承天寺境内に入ってみると、大きな仏殿がありました。承天寺通りから行くと、正面の山門ではなく裏から入ることになります。
承天寺には他にもこのような建物が建っていて、静かで厳かな雰囲気と共に美しい日本建築を楽しむことが出来ます。
続いて承天寺の隣に建つ天興庵。
コンパクトですがとっても素敵な建物の配置。まるでタイムスリップしたみたいな気分になります、歴史ある寺なんですけども、歴史上の…ではなく、歴史の延長である今を生きる「人」の営みを感じるお寺です。
庭の見学も出来るようなので中へ入っていくと、とても綺麗に整備された庭がありました。
ぐぬぬ…太陽の位置が悪い。
し・・・ん。としてるんですよ、この庭、そして建物。静かで厳か、とっても時間がゆっくりに感じられ、じっと見入ってしまいます。心がすぅっと凪いでいくような感覚、癒し効果も抜群。なるほどね、庭ってこういう効果があるんだ。お金持ちが日本庭園を造りたがる理由が分かるような気がします。
天興庵の庭園を楽しんで承天寺通りに戻ってくると、通りの終点が見えてきました。
この道の先、正面に見える自動車。その大通りを渡ると、聖福寺や東長寺へ行くことが出来ます。そして最寄り駅は地下鉄博多駅のお隣、祇園駅。ちょうど地下鉄一駅ほど歩いてきた感じでしょうか、所要時間は真っ直ぐ歩けば十数分だと思われます。安川は寄り道を一杯したのでそれ以上かかってますが。
博多駅を徒歩で出発して承天寺通りを北上して承天寺界隈の寺院を見学し、その先にある聖福寺、東長寺などの御供所町を散策。最後に地下鉄祇園駅から博多へ戻る。時間的にも半日くらい使って歩く観光コースに良いんじゃないでしょうか。近くには厄除けで有名な若八幡宮などもありますし、見どころに困る事はありません。
博多の歴史観光といえば…的な、定番スポットだと思うんですけども人通りが少ない、寂しい限りです。この記事を見て興味を持って頂けたら、ぜひ歩いてみてください。歴史の町「博多」を感じる事が出来ると思います。博多駅から近いのでおススメですよ。
「承天寺通り」
住所:福岡市博多区博多駅前1‐7(博多千年門)
※この記事は私が訪れた時のものです、現状と異なっている場合があります。ご了承ください。
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